自己陶酔

初夏の朝である。田植の終わった水田に清澄な風が吹き渡り、その匂いが、宿酔レヴェル4を自認する私の鼻腔をくすぐる。懐かしい匂いではあるが、よく味わってみるとそれは、農薬の匂いであった。ふと、農薬を用いて近隣の家々で飼われている動物(ペット)をよく殺していた叔父の顔を思い出す。幼少の頃、私が父親の実家で暮らしていた時期の、いま思えば「原体験」のようなものである。というとオーバーかもしれないな。つまり、現在の私にはそんな趣味はない。まあ、若干ソノケがあるのかもしれないが、断じてないと言っておく。おくが、泡を吹くというより、泡を吐きつつ異様な動きをする犬猫の眼と、腹のあたりの収縮、ふくらみ、毛、そして死。その光景を今でも忘れることができないのは事実である。

1720帰宅、仮眠50分。入浴後、お台所のおキッチンまわりのお水まわりを掃除する。どうしてそういう気になったのかは分からない。夜、麦酒、鮪ブツ、鯛、ツブ貝の刺身を食う。それらの肴がしごくうまいので、日本酒にきりかえ、ぐいぐいぐいぐい呷る。石川の酒「天狗舞」である。山廃仕込である。後、そうめん16本すすって自室に引き、くつろぐ。枕に付着した抜け毛の数をかぞえたり、爪を切ったり、頭皮や股間の匂いをかいだりしながらウイスキー飲む。そしてとにかく書く。中、自己陶酔、深更に至る。