東武線沿線のブラックホール

21時に谷塚駅前でタクミンと落ちあい飲みにゆく。雨が降っていたので駅まで家人に車で送ってもらったのだが、家人がタクミンに会いたいというので、仕方なく家人も含め三人で飲むことに。

一軒目は「KGひろ」という店に入ったが、テーブル席は満席のため、カウンター席に。こういう場合の席順はむつかしい。私と家人でタクミンを挟むのは変だし、かといって私が真ん中というのもおかしいだろう。となるとやはり家人が真ん中ということになるが、それもなんだか違うのではないかと感じるのが不思議である。まあ、飲み始めてしまえばそんなこと、どうでもいいことなのだが。

串焼きやポテトサラダ、レバ刺しなどを肴にビールと日本酒を飲む。私は「レバ刺し」というものが、どうも苦手である。火を通したレバーはむしろ好物の部類に入るが、生はいけない。それをうまそうに女性が食っているのを目にすると、こいつは信用できない、殺される前に、この女を殺してしまったほうがいいんじゃないか、とさえ思う時がある。

二軒目は草加に移動し「Sファイア」にゆく。ぶどう酒を飲みつつ、生ハムのピザや洋風の漬物などを食う。すると急激にタクミン落ちる。落ちるというのは、酩酊状態に陥る、という意味である。後、例によってS野君を呼び出し、しばらくして彼が姿を見せると、タクミンは久しぶりの再会を大そう喜んだ。眠ってはいたが。きっと何よりも嬉しかったに違いあるまい。そう思いたい。

でろんでろんのタクミンを車に押し込み、彼を送り届けようと再び谷塚に向かったが、彼の家がどこにあるのかよくわからない。私は何度か彼の家を訪れたことがあるけれども、そのたび泥酔していたため、その場所を憶えていないのである。これは困った。ではどうすればいいか、それは本人に訊くのが一番なのであって、でろんでろんの彼の身体を揺さぶり住所を尋ねてみることにした。が、「ハァ」とか「すぅ」とか、嘆息のごときものを漏らすだけで何の情報も得られないので私は、「そうか。じゃあ、ここでいいな」と彼がよく参るという神社の賽銭箱の脇に、彼の身柄を放置して帰宅したのであった。3時頃か4時頃か5時頃かな。