ウイスキーの小瓶

日中激務。16時過ぎに帰社した私は、辞世の句のひとつも詠んでやろうかと思ったくらいの瀕死状態でしたが、「征太郎、おい征太郎!セータロォォォー」と、私の名を誤って呼ぶ声が遠くのほうから微かに聞こえて参りましたので、――いやぁそれにしても、なぜ征太郎かねえ、どうしてこのような初歩的ミスが起こるかねえ、七年目だよ私はこの会社、その間ずーっと、「斉藤さん」あるいは「斉藤君」と呼ばれてきたではないか、それがいったいなんだね、征太郎って。誰なのよその征太郎って――。と、めくるめく生死の境をさまよい歩きながらも、自分の名が誤って呼ばれたことに執着、強い憤りを覚え、その誤りをなんとしてでも正したいという気持ちが、生きる。ここで死んでなるものか。という生命力を蘇らせ、私をこちらの世界に引き戻したのでございます。それからしばらくして、AJのたたき、鶏肉料理などを肴に麦酒のむ。後、米飯にふりかけをふりかけて食う。その姿はまるで、小岩のニューハーフのようであった。その後、自室にこもって深更までウイスキー、書きもの、ちょっと早めの昼飯を食う。http://www.youtube.com/watch?v=DS-dAH6Eyv8&feature=related