暴露町のオナニスト5

2038帰宅。帰りの遅い私を、家人は定めし心配していることだろうと帰路の車中で思っていたのだが、なんのことはない、その家人は寝室で眠っていたのである。しかも小さなイビキまでかいているという状況から、熟睡しているということが分かる。すなわち「ぐっすり」。と同時に、私の意趣返しが見事に失敗したこと、つまり、先のスーパーで子供じみた時間稼ぎなぞしていたことが、私への心配を喚起せしめるどころか、逆に家人の安眠をサポートしてやった形になってしまったのだという事実をも、ありありと見せつけられてしまったのである。私は、「なんと皮肉な!なんと喜劇的な!」と叫ばずにはいられなかったが、それは心中に留めておく。そして、音を立てずに寝室の扉を閉めると、台所にゆき、静かに晩飯の仕度を始めたのであった。