悪癖1

15時起床。――なんともイヤな夢をみたなあ、恥ずかしいなあ――。などと思いながら階段を下り台所にゆくと、先に来てコーラなぞ飲んでいた家人が、私を見るなり顔色を変え、「ぼんちゃん、憶えてないかもしれないけど、すごく怖かった、どうしていいか分からないよあたし」と言って急に泣き出したのである。その瞬間私は――ああ、まーたやっちまっただ。あれは夢じゃなかったんだなあ――と思った。というのは、早い話、寝ぼけたのである。私は昔からよく寝ぼけて奇行に走るようなのだが、厄介なことに私自身、うっすらとではあるが、それを憶えているのだ。で、今朝は何をやらかしたのかというと、早い話、ふらふらと寝室を出た私は、隣の和室(2階)の窓から飛び降りようとしたらしいのだが、そういうことはこれまでにも何度かあった。しかし今朝は、それを長年の共同生活のなかで少しは理解し、慣れてもいる家人を戦慄せしめた、ある行為にまで及んでしまったようなのである。