落選

川越にあるラーメン屋にて昼食をとったのは14時を少しまわった頃である。客は私の他に一人だけ、その男、頭上のテレビ画面に視線釘づけ、ぴくりとも動かない。すると厨房から店員が出てきて、リモコンで音量を上げると、そいつも同様、テレビをじっと見据えている。何か大きな事件や災害でもあったか、と私も気になってテレビに目をやると、なんのことはない、来月より開催される、蹴球の世界大会、すなわちサッカーワールドカップ、日本代表選手の発表記者会見がテレビに映し出されている。監督らしき男が、淡々と選手の名前を読み上げ、23名すべての発表を終えたとき、そこに私の名前はなかった。つまり私は、代表に選ばれなかったということである。落選である。まあ、納得できない部分も多少あるが、無理もないか。だって私は、サッカーのルールも知らないのだから。

18時帰宅、家人に落選の報告。「だめだったよ、選ばれなかった・・・・・・」「はあ?何が」「代表だよ、ワールドカップの」「バカじゃねーの?」「ほんと、いつも応援してくれてたのにすまない」「してねーよ」。夜、麦酒、ほうれんそう、豚肉料理、B飯。後、緑茶、ブルボン。

深更、焼酎飲みつつインターネット、書きもの、ブルボン。「何ゆえに落選したのだろう、アッピールが足らんかったかぁ・・・・・・」などと、いつまでもくよくよ考え込む。――絶望は虚妄だ、希望がそうであるように――(魯迅