隣人2

隣人の朝は早い。引越し荷物がまだ片付いていないのか、私が起きる7時半頃にはもう何やらガタゴトガタゴト始まっている。「生活音」というレベルの音ではない。建設現場なみの音である。まあ日中は家にいないので、どうということもないのだが、夕刻に帰宅すると、朝ほどではないにしても、まだ作業が続いているのには閉口させられる。

しかし、彼らが隣に越してきてまだ五日目。「うるさい」などと苦情をいっても仕方ないので、その音から、彼らの生活パターン、すなわち暮らしぶりを探ってみることにした。すると早くも、いろいろなことを知ることができた。たとえば、朝が早い人は就寝も早い。とか、旦那は私が床に就く4時頃に起きて仕事にゆく。などの、どうだっていいことばかりである。だがひとつだけ、驚愕の事実を知る。なんと、奥様はフィリピン人だったのです。

それが何を意味するのか。それは、先日わが家に引越しの挨拶に来て、私と話をした女が、隣の奥様でもなんでもなかったということである。おそらく、外国人であることを隠したかったのか、或いは日本語が達者ではないので代理人を立てたのか、まあ、そんなところだろうと思いますが、なんとなく釈然としない。

私は、外国人に対する差別的な感情がまったくないというような進んだ人間ではないけれども、この場合それはどうでもよいのであって、つまり引越しの挨拶ぐらい、そこに住む「本人」がすべきであろう。奥様はまあいいとしても、旦那は何を考えておるのか。世帯主だろうが。今度みかけたら、イヤミのひとつも言ってやろうかしらん。