帰巣

朝。顔面に直射日光と嘲笑を感じて目を覚ました。草加駅西口、とても暑い。気を失う直前に見た、ジャージ姿の高校生のグループがまだそこにいるのだから、そう長い時間眠っていたわけではなさそうである。尻のポケットから携帯電話を取り出して時間を見ると、7時少し前であった。どうにか立ち上がり、家に帰ろうとずるずる歩きだしたが、タクシー代もない、家人も来ない、なにより暑い。したがって、歩いて帰れるはずもない。仕方ねえ、とポケットの小銭を数え「よし。道中、吐くかもしれない。私はそれだけ具合が悪い。でも帰る。帰る。帰る。むうー、むむぅーん、ピロシキのお庭。それはない。傘に名前書いてんの、田所のセガレがよう、ポンポコリーン・・・・・・」などと、意味不明のことをぶつぶついいながらバスに乗ったのである。

8時半ごろ帰宅。ボロボロの半死状態である。それもそのはず、草加のDMDMを出てから、2時間以上も経っているではないか。なんということだ。靴を片方なくしてきたのを考慮に入れると、おそらく途中でバスを降り、歩いて帰って来たのではあるまいか。すごい帰巣本能である。以後、終日昏睡。