ウナギイヌ

今日は職場の「暑気払い」である。終業後、鰻重と酒が振舞われ、二次会は近所のスナック。社長のご機嫌うるわしければ、竹ノ塚のフィリッピンパブにて三次会。という毎夏の恒例行事だが、私は辞退して18時帰宅。職場の連中と飲む酒ほどまずいものはない。なぜ「まずい」のかというと、いつのまにか私は、この会社における経験や年齢が、いわゆる「上のほうの人」になってしまったからである。

私の入社当時は、酒の席といえば若い者(勤続年数の少ない者)が気を遣って、くるくると動き回ったり、上司のご機嫌を伺ったりしていたものであるが、時代は変化しているのである。つまり現在では、そのような「慣習」は消失、むしろ「上のほうの人」が若い人たちに気を遣い、おもねり、はなから持ちあわせていない寛容さを以って接していかなければならないというのが実状なのである。そこまでするこたぁねえよ、お前はお前でいいじゃないか、というご意見もありましょう。しかしこれがなかなか――まあ私の性格というのもあるのでしょうが――会社という組織のなかにあっては、そう容易にはいかないようであります。

夜、冷たい奴、枝の豆、芋のクロケットを肴に麦酒のむ。後、牡蠣飯を食う。これは広島の義母より届けられしものである。とてもうまい。このようなとき、私はどうしたらいいのかわからなくなる。わからないので、自室にゆきウイスキー飲む。書きもの少し、偽悪者の苦悩、戌。