暴露サワー

19時帰宅。入浴後に30分間の仮眠をとって外出。草加にてS野君、タクミンと会い、酒を飲むためである。草加駅に着いたのは20時半頃か。集合時間は20時だから、急いで指定された店「NGぼうず」に向かう。店に入ると、当然だが、すでにS野君とタクミンは飲み始めており、私は遅刻したことを詫びつつそこに加わる。まずは生ビールで喉を湿らせ、枝豆を食う。ふと見ると、枝豆のさやの両端が切り落とされているではないか。ついに私は、理想的な枝豆(http://d.hatena.ne.jp/B0N/20100611)に出会ったのである。しかもこんな身近な、草加の地で。

三者とも日本酒にきりかえ、刺身や焼魚などを食う。話題はやはり、それぞれの身辺状況や愚痴がほとんどである。ところが、S野君とタクミンが愚痴っても決して重くなるようなことはなく、むしろ希望すら感じるが、一方、私が愚痴を言うと、悪口を言ってるようにしか聞こえないというのが不思議である。この違いはどこからくるのか。後、S野君の提案による「ことば遊び」などをして盛り上がる。そして私が「インチキ婦人科医」としての知識をひけらかす頃には、三者ともかなり酔っぱらう。店を出るとき、仏文科出身のタクミンは、カウンターで飲んでいたフランス人に、流暢なフランス語でさらりと別れの挨拶、小粋に店を出る。はずだったが、トイレに行ったときのスリッパで店を出てきてしまい、慌てて店内に戻り、慌てて自分の靴を履く、という失態をやらかしたのであった。いやこれは“失態”ではない。赫赫たる勝利であり、才能である。

二軒目は協議の結果、以前S野君が働いていたバーに行くことに。ここではウイスキーを飲みつつ過去の話。どうも私は酒を飲むと、未来よりも過去を愛する男になってしまうようである。暴露サワーを私が作り、S野君とタクミンに飲ませる。後、零時頃だろうか、帰宅の意向をほのめかすS野君を無理やり引っ張って「夢Y」に行く。またしても私のわがままを押し通した恰好である。一時間ほどでS野君を解放してやり、すでに落ちているタクミンの寝顔に、こちらが一方的に話しかける。彼が眠りながら私の話をどれだけ理解しているのかは判らないが、時折うなずいたり、相槌を打つような仕草をしてみせるのものだから、おや、これは「眠っているフリをしているだけなのかもしれないな」――。

もはや客は私とタクミンの二人きりであった。店の者から見れば、私の独り言のように見えるのだろうが、私は確かにタクミンと「会話」をしているのであって、コミュニケーションがとれている、はずである。そう思った私は、死人のごとく寡黙なタクミンに、夜が明けるまで、延々と話し続けた。