過酒

朝出発。昨日負傷の左足、その痛みと腫れはいくらか引いたようであるが、顔の腫れ。これは毎朝のことであり、いかんともしがたい。昼飯は職場近くのコンビニで弁当を買って食う。のり弁当である。食っていて思い出したのは、父のことであった。――私の父は少しく変わったところのある人で、月に一、二度、晩酌前に、「のり弁食いたい、ああ食いたい、のり弁」とかなんとか言いながら台所をすたすた歩きまわり、やがて茶箪笥から弁当箱を取り出すと、自ら「のり弁」を作るのである。父は、弁当気分、あるいは遠足気分を高めるためなのか、それを布で包むなどして、そっと座右に置き、眺めつつ、満足げな顔で晩酌を始めるのである。もちろん、すぐには食わない。弁当なのだから。しばらくして晩酌を終える頃に父は、母に味噌汁をもらうと、やおら弁当の包みをほどき、それを、なんともうまそうに食うのである――。

15時すぎに帰宅。すぐさま水浴びを行い肉体の冷却に努める。後、書見、治療。仮眠のつもりが本眠に。目が覚めたのは22時であった。まーた週末に逃げられちゃったぜおい。夜、麦酒、メンマ、つけめん。メンマの永眠・つけめんのピーク。「東京で一旗あげるつもりなんてないんだよ。本音だよ。」メンマ談。

自室で昨日の二の舞。にならないことを祈りつつ、焼酎飲んで三の舞。阿呆の舞。過酒ゆえに感覚が鋭敏となりて、見たくもないものまで見える。たまらない。それはたとえば、あなたたちの手が。