それから

朝出発。このところ、ひねもす眠くて仕方なく、一瞬たりとも仕事に身が入らないというような具合であるから、道中、サテンやらコンビニ(おもにMストップ)を見つけてはそこに入り、眠気ざましのアイスコーシーをしょっちゅう飲んでいる。そしてグラスの中の氷まで口に含んで、コリコリコリコリ噛み砕いたりしているのだが、どういうわけか、いっかな眠気が覚めることはなく、むしろリラックスなぞしてしまい、いよいよ眠気に拍車がかかるという、本末転倒じみた効果が現われやがるものだから、さあ弱っちまう。ところで、手っ取り早く眠気を覚ますには、やはり覚醒剤が一等だ、という話を昨今よく耳にするし、そうなりゃ試してみたいと思うのが人情というものだが、現在あれは「違法薬物」の類に指定されているとのこと、詳しいことはよく知らねども、買うには処方箋か何かが要るということなのだろうか。コンビニあたりでそれを売ってくんなきゃ、買う気が起きねえなあ。不精ですからねあたしは。さういへば昔、深夜のコンビニに全裸で珍入し、川端康成よろしく両眼を剥いたまま、真っすぐレジまで歩み寄り、アルバイト店員に「カク、カ、カクッ、覚醒剤ありませんか、置いてないでしょうかここに」と捨て身のジョーク(あれはあれで、なかなかの演技であった)をぶつけたところ、店員、ひどく狼狽しながら後ずさり、今にも泣きだしそうな声で「警察呼びますよ」。――そこを出たあと、その一部始終を店の外で見守っていた友人Sと、大笑いしながら部屋に逃げ帰り、改めて先程の店員の狼狽ぶりを肴に大笑い、払暁に至るまで酒を酌み交したものだが、現在こうして書いてみると、別段おもしろくもなく、むしろ、ちと悪ふざけが過ぎたかと、小反省なぞしているという体たらくなのである。