うしろ姿

寒い朝であった。例のごとく宿酔と寝不足による倦怠感は重篤であり、職場へ向かう道中においては心神喪失状態であったといっても過言ではない。初めてのセックスがどんなものであったかも思い出せない程なのである。


これはいけない。そう思ったかどうかも憶えていないのだが、気がつくと私はイカの下足、蒲鉾、穂先メンマ、紫葉漬といった肴が並べられた食卓を前にぽつねんと坐っていた。ふと視線を上げ、うっすら埃をまとった掛時計を見ると、時刻は夜の八時を過ぎていた。これは一体どういうことなのだろうか。


いまの私はくつろいでいる。そんなことを自らに言い聞かせながら私は毎晩、全力でくつろいでいるのである。涙ぐましいものがあるよなあ。ところでおれはその夜、「鶏むね肉の梅肉ソース」という、なかなかに手の込んだ料理を私に作ってみせ、もちろん一緒に食ったのだけれども、その反応はいまひとつであったと言わざるを得ない。焼く前の肉にまぶす片栗粉の量が過ぎたのだろう。次つくるときは気をつけようと思う。深更、焼酎飲みつつぐにゃぐにゃの文章を書く。就寝4時(予定)。