幻覚な父親

17時に退社したるのち小買物をするため雨のなかをDストアにゆく。自転車の前照灯がどういうわけか点かないという現実に直面しながらも台風が接近するよ。上陸するよ。すごいよ。とかなんとか云って騒いでる職場の人たちのことを思いだして軽蔑、腹も立ったが、じつは私もそのうちの一人であったのだからこの先どうしていいのかわからない。結局、雨も風も大したことはなく杞憂に終わったようであるが、やっぱり、この先どうやって生きてゆけばいいのか。


――でもよかったじゃないか。な、それでいいじゃないか。そうだろう?ええ?どうやって生きていけばわからないなんて、そりゃあ(ふふっ)、君、おごりというか甘え?あ・の・さぁ、考えすぎなんじゃないかなぁ。ええ?そんなことだから、や、まあこういうことはさぁ、あんまり言いたくないんだけど君さぁ、ええ?なんだよ。なんなんだよ。なんだ君のその眼は。ええ?ったく、これだからバイトは・・・・・・えっ、あっ、やややめろよう、あ痛ぇ、やっ、すいませんすいません、痛っ!ちがう、やっ、やめてほんと、ずいまぜんほんとう、ずいまぜんて・・・・・・、え、あっ、はい――。



夜、鶏卵の目玉焼き、秋ナスの与一、徳用ウインナーを肴とし、麦酒の2本。後、豚肉の生姜焼きを作ってお菜とし、米飯一合半と三つ葉の味噌汁。後、大富豪になる暗示あり。但し私がそれを「望まなければ」大富豪にはなれないのだという。すなわち“条件つき”である。これは一体どういうことなのだろうか。が、しかし私は本日より“大富豪”になりおおせる日を、強く望んでいこうと思う。なぜかというと、というまでもなく、金が欲しいからである。



いろいろあったが、今は自室でウイスキーなぞ飲んで小便にゆくのを我慢している。どうして私はトイレにゆくのを極限まで我慢してしまうのだろうか。案外「前向きでくよくよしないタイプ」なのではなかろうか。いやいや、その反対であろう。ということは「後ろ向きでくよくよするタイプ」ということになるのであろうか。まあ、どっちでも構わねぇけどな。そんなことより、タバコ買いにいかなくちゃ。