肉慾


夕刻、三軒のスーパーを巡る。一軒目で目当ての品「豚の肩ロース・ブロック肉」が売られていなかった為、二軒目にゆくとそこにもなく、そして最後の三軒目にもないと云う、おそらく今夜から二晩は眠れないだろう程の落胆であった。ところで、なぜ私がそこまで肩ロースを欲していたのかと云うと、それは早い話、チャーシュー(煮豚)を晩酌の際の肴として食いたかったからに他ならない。――と云ってしまうとこれで話が終ってしまうので、もう少し詳しく云わせてもらうと、


これまで私は、豚バラ肉で「角煮」をよく拵えては、酒肴や飯のおかずにしてきたものであったが、此頃は年のせいか、あの脂身に些かの抵抗を感じ、自作することも食うこともめっきり少なくなっていた。いや、皆無と云ってもよいだろう。そんな折(昨夜のこと)、youtubeで或る動画をみつけ、どうしても今夜、バラ肉に比して割と脂身の少ない肩ロース肉で、それを「実践」してみたくなったと云うわけである。http://www.youtube.com/watch?v=HRFqkmjZ9aI


結局は豚モモ肉で拵えることになったが、とてもうまかった。古き良き昭和のラーメン(中華そば)のチャーシュー、と云ったところか。